金沢で390年の歴史を紡ぐ、老舗酒蔵「福光屋」の酒造り【後編】
■職人魂の酒造りを貫きながら新たな伝統を創造していく姿勢福光屋は、毎年9月にその年最初の米を蒸す蒸米甑立て(こしきだて)を行い、10月頃から3月頃まで新酒の仕込み、そして4月には最後の蒸米作業である甑倒し(こしきだおし)で酒造りを終える。7月には、土用洗いといって酒造りに使う道具すべてを洗浄。細かい機材はもちろん、タンクやホースなどにも及ぶため、今でもほぼ1ヶ月はメンテナンスと整備に費やす。さて酒造りには、多くの工程がある。中でも「一麹(こうじ)、二もと、三造り」と昔から言われるほど、麹づくり重要な工程だ。他の作業は機械化しても、麹は手作業という酒蔵は多い。福光屋でも吟醸麹は、昔ながらの手法で蔵人が2日間昼夜を分かたず麹づくりをしている。蔵内の仕込みタンクを覗いてみると表面に泡が広がっている。
米麹が蒸米のでんぷんを糖化させ、酵母がその糖分をアルコールへと発酵させているからだ。これを「並行複発酵」といい、世界でも珍しく複雑な醸造方法だとか。この泡の様子を見ながら20日間から1ヶ月ほど発酵させて仕上げる。できあがった醪をしぼり、原酒と酒粕に分けるのが「上槽(じょうそう)」。しぼりたての原酒をいただくが、飲み口のフレッシュさとアルコール度の高さに驚く。「しぼりたてだからアルコール度は高いですよ(笑)。このまましぼりたてとして出荷する以外は、濾過後に火入れして秋まで貯蔵します。味わいの設計に合わせてブレンドを行い、加水して瓶詰め時に再度火入れして出荷します」と生産本部・部長の正司和利さん。
条件は同じでも、自然の恵みゆえに味が変わることはある。だからブレンドすることによって、その商品一定の味わいに整えて出荷するのだ。職人魂の酒造りを貫きながら、業界初の取り組みを数多く成し遂げてきた福光屋。「古い業界でもあるので、日本酒造りの領域を広げていくと業界初になってしまう」と福光屋13代当主の福光松太郎さん。老舗の暖簾を守るために、新たな価値を提案して発信し続けている。最後、ご当主に好きな自社銘柄をたずねると「よく嗜むのは『黒帯』ですね。料理に合わせて飲んでいただけるように、悠々、堂々、飄々、燦々と4種類あります。でもパッと直感で飲みたいと思うものを飲んで欲しい。
黒帯は、右脳で飲む酒ですから」と笑った。前編に戻る。
(c) FASHION HEADLINE
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