2018年12月28日 15:20
クリスチャン・ボルタンスキー日本初の大回顧展、大阪・東京・長崎で - 写真や衣服で“記憶”を表現
子どもの肖像写真と電球を祭壇のように組み合わせて展示した「モニュメント」シリーズでは、宗教的なテーマに取り組んだ。それを発展させた《シャス高校の祭壇》(1987年)は、1931年にウィーンの高校に在籍したユダヤ人の学生たちの顔写真を祭壇状に並べ、その写真を電球で照らすインスタレーション。
肖像写真を集めて展示する手法は、見る者に大量の死者の存在を連想させる。実際に、作品がナチス・ドイツによるユダヤ人の大虐殺とその犠牲者のイメージを想起させるものとして解釈され、大きな議論を呼んだ。
さらに、パリのグラン・パレの広大なスペースに膨大な量の衣服を集めて展示した《ペルソンヌ》など、様々な手法によって、歴史や記憶、死、不在をテーマとした作品を発表している。
国際的な芸術祭に出展
ボルタンスキーは、1970年代からドイツ・カッセルのドクメンタやヴェネチア・ビエンナーレなどの現代美術国際展に招待されるなど、世界的に活躍。日本でも、1990~91年にICA 名古屋と水戸芸術館で初個展を開催した後、越後妻有アートトリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭などで展覧会を開催。2016年にも、東京都庭園美術館で個展が開催されている。