『かもめ食堂』は、リラックスしたいときの処方箋 自分が心地よいと思うことを大切に
そんな年代なのかもしれません。
『かもめ食堂』を観ていて心地いいのは、登場人物が多くを語らないということがあるかもしれません。説明も感情を吐露し合うこともない。言葉の間合いや、抑えた表情で伝わってきます。
そして、『日本人のソウルフード』としておむすびが出てきます。またサーモンの網焼き、唐揚げ、シナモンロールも登場します。
一つ一つの食材を丁寧に扱い、丁寧に調理していく描写に静かな感慨を覚えます。
この映画の心地よさは、私たちの日常を心地よくするヒントになります。登場人物たちが丁寧な言葉で会話していること。それは小津安二郎の映画で交わされる父と娘の丁寧な言葉づかいのようです。
丁寧であることの心地よさ。丁寧に接することは、相手を大切に思っているというメッセージでもあるのです。丁寧にすると、自分自身も心地いいはずです。この循環が、世界をまろやかにしていくでしょう。世界が穏やかであるには、ひとりひとりの言葉や態度から始まるのですね。
『かもめ食堂』の中に、こんな会話があります。「フィンランド人はとても穏やかです。どうしてでしょう?」
そこでお客のひとりである青年がこう言います。