2018年10月27日 06:00
病院嫌い、薬嫌い…長女が明かす永六輔さんの通院当時
大嫌いな薬の服用をすすめるため、千絵さんは実家へ日参した。ところが「子ども用の(服用のための)ゼリーを粉薬にかけても、上のゼリーだけすくって食べて、薬は残っていたり。こんなに嫌がる父に、無理やり飲ませるのは……と、いつも葛藤していました」と、当時を振り返る。
また、待つことが嫌いな六輔さんのため、自宅近くのクリニックへの通院では、朝一番に駆けつけて受付けを済ませた。その後、「すぐに父を呼んで来ます」と、2番目に並ぶ患者さんにも聞こえるように言い、走って迎えに行って受診させたという。
「仕事のこと、孫のことなど、おかしなネタを仕入れておいて、家でも待合室でも父を楽しませることに、さんざん頭を使いました」
薬が効いてパーキンソン病は小康状態になったものの、’09年には前立腺がんのマーカーPSA値が高いことが判明する。再び主治医の鎌田医師に連絡し、3カ月に1度、治療のために茨城県つくば市に通うこととなった。
「東京とつくばの往復は1日仕事です。
しかも父をどうやって連れ出すか――」
思案の末、千絵さんは学校が休みの折には息子たちも引きずりこむ勢いで伴い、病院通いを楽しいイベントにして、連れ出すことに。