藤原定家子孫・冷泉家当主夫人語る「婿入りしてくれた夫へ感謝」
よそから来た養子の私だから、そんなふうなこともできたと思うと、何が幸いするかわからへんね」
こう言って、胸を張った夫に、貴実子さんは頭を深々と下げた。
「もし、この人がいなくて私1人やったら、この家、よう守ってきいひんかったと思います。だから、ホンマ感謝しています」
そして、顔を上げた貴実子さんは新たな時代への思いを、力強く語った。
「800年、先祖が守り抜いた日本の文化を、この先また800年、伝えていきたい、そう思うています」
藤原定家の孫、冷泉為相に始まる冷泉家。この平成の世に、定家の歌をつなぐのは、もうこの家だけだ。貴実子さんと為人さんはいま平成の次の世に定家の歌をつなごうとしている。自分たちが守ってきたものへの誇りと、夫婦愛を原動力にして--。