負担額だけ見れば高所得世帯のほうが大きいんですが、収入に占める負担額の割合は、低所得世帯になるほど、高くなります。年収が252万円の世帯では負担の増加率は1.54%、一方、1,183万円の世帯では0.69%です。つまり、低所得のほうが2倍以上も負担額の割合は増えている。消費増税は、所得が低い世帯ほど家計への影響が大きいんです」
だが、これはあくまでも2%の増税が家計に与える直接的な影響にすぎない。所得は増えていないのに、税負担が増えれば、当然、消費を抑えて支出を減らさざるをえないことになる。藤井さんはその影響をこう指摘する。
「消費は経済成長のエンジンです。消費が冷え込めば、物価が下落し企業業績も悪化する。
その結果、労働者の給与が減ってしまう。’97年に消費税が3%から5%に増税されてから、1世帯当たりの平均所得は多いときで年間20万円減り、’13年にはピーク時より135万円も減少しました」
10%への増税は、5%への増税時以上の影響を日本経済に与えるという。
「10%という税率だと、買い物する際に、簡単に税額を計算できます。常に、税が意識されることで、消費行動に大きなブレーキをかけてしまうのです。