『スカーレット』三林京子が明かす“リアル大久保さん”ぶり
私も悔しいから『絶対、ちゃんとやります!』って、そらもうけんか腰の言い合いに」
すると、ざこばは同席した兄弟弟子全員に、こう聞いた。
「こいつ、妹弟子と認めるやつ、立ってくれ」
やおら、全員が立ち上がった。
「いやあ、うれしかったですよ。ほなら、ざこば兄ちゃんも『よし、わかった。そしたら手打ちにしたる』って言うてくれはって」
米朝はそのやり取りを聞いて「ざこばが、そない言うたんやったら大丈夫やな」と話したという。
「師匠は『落語はあんたの本業にも役立つやろ。弟子として認めます』と、弟子入りを許してくれました。でも、兄弟子たちには、よう嫌み言われました。
『これまでかわいらしい女学生とかいっぱい来ても全部断ってきたのに、なんで今さら、あいつやねん』って(笑)」
男性中心の焼き物の世界に果敢に飛び込んでいく『スカーレット』の喜美子と、どこか重なり合う三林さんの姿。思えば、父が極めた文楽も、憧れた芝居の裏方も、女性であることを理由に足を踏み入れることすら許されなかった。
いざ、桂すずめとして高座に上がるようになると、噺の途中で頭が真っ白になるという、女優ではありえなかった恐ろしい失敗も経験した。