くらし情報『車上生活を2年間……震災に負けなかった生花店主の波乱万丈』

2020年1月17日 11:00

車上生活を2年間……震災に負けなかった生花店主の波乱万丈

と言われていた森本さん。働くのが好きだった森本さんは悩んだ末に、周囲の反対を押し切って政一さんとの結婚を選んだのだ。

森本さんは結婚後、夫と2人で生花店の従業員として働いた。多いときは一日で花を100万円分売ることもあった。

40歳で独立し、念願の生花店「花恋」を神戸市長田区の商店街、菅原市場に開店。震災が商店街を襲い、炎が街を焼き尽くしたのは、「花恋」が新装開店を迎えるはずの1月17日だった。建物の1階部分は倒壊し、用意した花も、業者に渡すつもりで店に保管していた600万円も、焼けてしまった。

「若い頃から働きづめで、やっとここまできたの……。
過去も未来も全部失って、残ったのは600万円の借金と罹災証明だけでした」

当時、45歳だった森本さんにとって再起は難しく思われた。あの花束を目にするまではーー。

「(美智子さまの手向けた)そのスイセンの花束を見たとき、なんて清楚で、なんて力強いんやろう、と。涙がぽろぽろ出てね。もう一度、頑張ろうと思えたんです」

それから、再建に向けての長い戦いが始まった。住居が手に入るまで2年もの間、車上生活を続け、クルマに花を摘んで墓苑で花を売る。

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