山田たかおの極貧幼少期 座布団運んでマンションオーナーに
観覧席の小学生全員が「ハイ、ハイ!」と手を挙げる。でも、山田くんは挙手もそこそこに勝手に舞台によじ登り、大声でこう告げた。
「僕が歌います!」
物怖じしない性格を買われ、そのまま飛び入り出演。番組テーマ曲『ちびっこマーチ』を歌って、なんとその週のチャンピオンに。
「優勝商品はインスタントラーメン半年分。家に持ち帰ったら、父も母も、それに姉や兄たちもみんな大喜び。それまで見たこともないような笑顔で。それを見てたら、僕も本当にうれしくって」
ここから、山田くんの運命が動き出す。
番組を偶然見ていた脚本家・花登筺(享年55)に見いだされ、山田くんは大御所の推薦で「劇団ひまわり」に入団。生来の人懐っこい性格で、名演出家やプロデューサー、大物俳優たちにもかわいがられ、子役として引っ張りだこになっていった。
その後も多くの仕事相手や噺家の師匠たちに可愛がられ続けた理由はやはり、山田くんの笑顔と人柄によるだろう。そんな山田くん、じつは今、不動産業も営んでいる。2棟の賃貸マンション購入の原資になったのは、山田くんが最初のずうとるび時代、両親に渡していたお小遣いだという。
「毎月5万円ずつですけど、爪に火をともす思いで育ててくれた親に、感謝の気持ちで渡していました。