コロナ禍の不安に…江國香織、湊かなえら女性作家からの1冊
心弾ませながら一気読みできる。
■江國香織さん(56)/『まちの植物のせかい』鈴木純(雷鳥社)1,760円
植物を見ているだけで幸せになれる“植物観察家”が〈道ばた〉〈空き地〉の植物約30種を紹介。
「美しい写真を眺めているだけで、深呼吸したみたいに気持ちがいいです。文章もまっすぐで読みやすくおもしろく、これは名著だと思います。植物の生気が横溢(おういつ)していて、外出のままならない今読むと、人間の小ささを思い知らされ、それでもおもては初夏なのだ、と心強くなります」(江國さん)
■甘糟りり子さん(56)/『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』著:ジョナサン・サフラン・フォア、訳:近藤隆文(NHK出版)2,530円
題材はアメリカ同時多発テロ事件(9・11)。
「父親を亡くしたことをどうしても受け入れられない少年が、父の残したヒントを解読していく物語。本を閉じたときに自分の中にすがすがしい勢いがうず巻いているはず。ほかにも、察する、我慢するという日本的な価値観のよい面を感じることのできる『あ・うん』(文春文庫)も、手に取ってほしい書です」(甘糟さん)
■湊かなえさん(47)