「75歳まで繰り下げて84%増額」はお得? 年金博士が解説
こう聞くと減収ばかりに目がいってしまう。ただ、北村さんはメリットも考慮すべきだと語る。
「将来、老齢基礎年金に厚生年金を上乗せできるのです。公的年金の特徴は亡くなるまでもらえること。“長生きリスク”を考慮すると、もらえる年金額を増やすことは重要です」
上乗せされる厚生年金の目安は、北村式計算法によると《年収の百万の位の数字×5,500円×勤続年数》。たとえば、55歳のパート主婦が10年間、年収106万円で働いたとすると、《1.06×5,500円×10年》で、年間5万8,300円が、生涯にわたって上乗せされる計算になる。
「さらに厚生年金の適用に伴い、いざというときは健康保険から疾病手当金が支払われます。病気やケガなどで長期間仕事を休むことになったとき、未加入だと、療養している間は無収入となります。
一方で加入していれば、3日連続で仕事を休んだ場合、4日目から最長1年半までの間は、給料の約3分の2がもらえるようになる。民間の保険ではありえないような手厚い保障もセットになっているのです」
もうひとつ今回の改革で注目するべき点は、年金受給を開始する年齢の選択肢が増えたこと。
「受給開始年齢は通常65歳ですが、現状でも最大で5年、開始時期を繰り上げ(早め)