2020年8月31日 11:00
19歳でホールコンサート成功!天才ピアニストを育てた母の葛藤
と指摘される。自閉症は、会話や人間関係が苦手だったり、強いこだわりを示すなどの症状をもつ発達障害の一つ。感覚刺激への敏感さや鈍感さで生活に苦労するが、それが芸術的才能につながるケースも指摘される。
「初めて聞く『自閉症』という言葉でした。主人はショックを受けていましたが、私はずっと不安を抱えていたので、原因がわかって解決の糸口も示されるはずだと、光が差したようにも感じました。でも、その後、インターネットで自閉症について検索してみると、『脳機能の障害で治るものではない』という記述があって、床に座り込んでしまいました」
そこへ、一つの気づきをくれる出会いが訪れる。2歳半ごろから通っていた国際教育を推進するPTC(パシフィックインターナショナルスクール)の高塚洋子園長は言った。
「カイルくんを病気にしているのは、お母さんですよ」
振り返って、由起子さんは言う。
「それまではりんごという言葉を覚えさせるのに、りんごの絵のカードを見せていました。ミス・ヨーコから『本物のりんごを持たせて、においを嗅がせて、色を見せてが大事ですよ』と言われて、私、いままで何やってたんだろうと」
そんなとき、至らない自分に落ち込んでいるママに、カイルくんがそっと好物のいちごを差し出す。