「この人を幸せに」池袋事故・松永さん語っていた家族の日々
しかし、病院には2人の遺体が。顔に布がかぶせられており、覗いたところ真菜さんの顔は「ズタズタなんです、もう傷だらけで」。そして莉子ちゃんのことも確認しようとしたが、親族に「思い浮かべるときに、あのかわいい顔を思い出せなくなるよ」と声をかけられた。
「そうか、と思って。莉子は、業者の方から、遺体を修復するエンバーミングに『顔だけで3日かかります』と言われたほどのひどい損傷でした」
松永さんと真菜さんが出会ったのは13年夏。東京に住んでいた松永さんが、親族の集まりで沖縄に訪れた際、従兄弟の紹介で真菜さんと出会った。2人はいきなり6時間も語り合ったという。
「真菜はもっぱら聞き役でしたが、すべてを包み込むような温かみがあって、いわゆる僕の一目ぼれでした」
交際を申し込んだが2回断られた。
真菜さんはお姉さんを若くして白血病で亡くしており、「家から離れるのがつらかった」と話したという。しかし、のちに交際へと発展。遠距離恋愛の末、15年2月に結婚式を挙げた。2人は当初、千葉市に住んでいた。
「真菜がときどき夜中に1人で泣いていました。自分の肉親も友達もいない千葉まで、沖縄から1人でやってきたわけじゃないですか。