「この人を幸せに」池袋事故・松永さん語っていた家族の日々
本当に寂しかったと思うんです。彼女を抱き寄せつつ、絶対この人を幸せにする、と胸に誓いました」
そんな真菜さんは腎臓の悪い松永さんを気遣い、無農薬野菜を取り寄せ、調味料も手作りしてくれた。さらに松永さんが“将来、家族を幸せにできるのか”と不安になり、涙を流したとき「幸せというのは、お金だけじゃないんだよ。私、今、すごい幸せだよ」と伝えてくれたという。
「わが妻ながら、僕は真菜を人間として尊敬していました。人の悪口や愚痴を言うのを聞いたことは一度もありません」
そして16年1月に、莉子ちゃんが誕生。「生まれた瞬間には、2人同時に『かわいい!』で、うれし泣きでしたね」と明かしている。
しかし、2人の命は突然奪われた。
事故現場での実況見分で、杖を突く飯塚被告を初めて見た松永さんは、「高齢なだけでなく、あの足の状態で運転していたことがわかって衝撃を受けました」と述べている。
松永さんは飯塚被告への憎しみを明かしながらも、「憎しみを抱いている間は、相手だけにとらわれてしまい、それでは自分がしんどい」とも。さらに、こう話した。
「僕の中に残っている真菜や莉子の温もりや肌の感触が、僕が前に進もうとするときに、そっと背中を押してくれるんです」