2020年11月1日 11:00
義足のモデル・海音語る覚悟「見てくれる人に勇気を与えたい」
知らない人とすれ違ったときも“義足なんだ”って変な目で見られているって、ビクビクして……。窮屈で苦しかったです」
だが、今はコンプレックスを武器に換えることができた。それは、両親の愛、海音の可能性を信じて支援してくれた人、そしてモデルへの強い思いがあったからだ。義肢装具士の臼井二美男さんが振り返る。
「切断したばかりの海音ちゃんは、薬の影響もあってむくんでいたけど、4~5年ぶりに会うとすっかり大人っぽく、美人さんになっていて、ファッションセンスも抜群。“この子は、普通じゃない”と感じました。そこで、切断しても義足を個性だと感じ、心を解放できるようにとはじめた“切断ヴィーナス”のプロジェクトに参加してほしいって思ったんです」
海音も、モデルの夢を完全に捨てきれなかった。再び、新しい義足を受け取りに、臼井さんに会いに行った。
「ちょうど屋上で撮影をしているから、見学してみない?」
臼井さんは、偶然を装っていたが、事前に写真集『切断ヴィーナス』のカメラマン・越智貴雄さんに連絡していたのだ。テスト撮影に応じるも、まだまだ義足をオープンにする勇気は湧かなかったと海音は言う。
「でも、その直後に越智さんは(海音の暮らす)