「できないのは恥」ゴミ出し困難を隠したがる高齢者の実態
そう話すのは、『ルポゴミ屋敷に棲む人々』(幻冬舎)の著者で、公衆衛生看護学の専門家・岸恵美子東邦大学大学院(看護学研究科)教授だ。本誌では、岸先生監修の下、ゴミ出し困難に陥る危険性のある世帯数を試算した。
世帯主が75歳以上で、高齢者自らゴミ出しを行わなければならない、単身世帯、夫婦のみ世帯の数は、’25年には約858万世帯となる(国立社会保障・人口問題研究所’18年『日本の世帯数の将来推計』より)。75歳以上で、要支援の認定を受けた人、要介護認定を受けた人の合計割合は31.9%(令和2年版高齢社会白書より)。
つまり、’25年には858万世帯の31.9%である約274万世帯でゴミ出し困難になると予想される。また、この数字を全世帯において換算すると、全国で19.6世帯に1世帯が、ゴミ出し困難に陥るリスクを抱えるという結果となった。
このような状況の中、すでにゴミ出し支援に乗り出している自治体もある。
’00年から「ひまわり収集」というゴミ出し支援サービスを実施しているのが神戸市。
今年9月時点で1,389世帯が利用中だという。
「ひまわり収集は、65歳以上の高齢者で一人暮らしの方など、ゴミをステーションまで運べない人を対象に、市の職員が家の玄関先までゴミ収集に伺うサービスです。