「百恵は泣いていた」小柳ルミ子語る引退コンサートの裏側
その後、ラスト前の『歌い継がれてゆく歌のように』を、涙とともに歌い終えた百恵さんがステージから去り、再び登場したとき、会場のあちこちから、ファンの女性たちのうっとりするようなため息が洩れ聞こえた。
いよいよファイナルとなる舞台上には、ウエディングドレスを思わせる純白の衣装と同色の髪飾りを身にまとった百恵さんがいた。純白のドレスで、「幸せになります」とのラストメッセージを残した百恵さんは、全28曲を歌い終えると、白いマイクをステージ中央に置いて、人々の前から立ち去った。
野口五郎(65)は、そのシーンを鮮明に覚えていた。
「僕の隣の席は、(西城)秀樹でした。彼女がマイクを置いたとき、僕や秀樹だけでなく、アーティスト席の全員が、客席のファンの方たちより率先して、スタンディングオベーションをしたんです」
ファンの多くが、茫然としたまま観客席から立ち去れないでいるころ、バックステージでは、もう一つの別れのドラマが続いていた。最後の舞台をやり終え戻ってきた百恵さんを、アン・ルイスや岩崎宏美、阿木燿子らが迎える。
証言するのは、小柳ルミ子。
「ステージ裏では、ふだんは人前では泣かない百恵も、さすがに泣いていて。