「百恵は泣いていた」小柳ルミ子語る引退コンサートの裏側
みんなでハグし合いながら、しばらく泣いていました。私は年上ですが、大きな宝物をなくしたような気持ちだったんです」
その後、武道館のレストランで、報道陣をシャットアウトした打ち上げが行われた。小柳が続ける。
「事務所は違う私ですが、百恵本人から『ねえさん、出て~』とせがまれて、参加しました。すると、あの気丈なはずの百恵が、ずっと私の手を握って離さないんです。最後の最後まで無事に終えるのを見守って、という意味だったのかもしれません。
ただ、もう百恵に涙はありません。すでに歌手・山口百恵ではなく、“奥さんになるんだ”という気持ちに切り替わっていたのでしょう。
私は、この場で、友和さんに百恵のことを、『ほんとにいいコだから頼むよ』と告げたことを覚えています」
阿木燿子の音頭で乾杯を終えると、百恵さんも挨拶に立つ。
「昨日の夜はなかなか実感を持てませんでしたが、でも若さですね、今朝はすっきりした気分で朝を迎えました。今日までほんとうにありがとう。私は幸せでした」
その後も関係者やスタッフの一人ひとりに挨拶をし、感謝の思いを述べながらビールを注いでまわる姿があったという。
パーティが終わり、その日初めての安堵の表情をした百恵さんが友和の愛車で帰っていくと同時に、長かった一日が終わった。