日本郵政 楽天に1500億円出資の“思惑”を荻原博子が解説
全国に郵便局は約2万4,000局あります。そこに基地局を設置していけば、楽天エリア拡大の足掛かりになりますし、楽天モバイルのブースを作れば、郵便局をよく利用する高齢者にもアピールできるでしょう。
いっぽう日本郵政は、全国どこでも同一料金の郵便事業が、赤字の温床でした。これまでゆうちょ銀行やかんぽ生命の利益で補填していましたが、昨年の不祥事で相当厳しい状態です。楽天が行うネット通販の物流業務を引き受けることで、業績を伸ばすことができるでしょう。また、楽天の基地局を設置することで、設置料など安定収入にもつながります。
つまり、今回の提携はお互いのニーズを補い合ういいものと考える人が多いです。その証拠に、提携発表後、両社の株価が上昇。
特に楽天は、15日に5年3カ月ぶりの高値を付けました。
とはいえ、不安材料もあります。1つは、かんぽ生命の不正勧誘で発覚したきついノルマやブラック企業体質が残っているのではないかということ。楽天モバイル関連の業務が、郵便局員の新たな負荷とならなければよいのですが。もう1つは、今回、楽天が資本提携したのは日本郵政だけではなく、中国ネット大手のテンセントも名を連ねます。