くらし情報『「70歳就業法」開始、なぜ日本は高齢者を働かせたいのか』

2021年4月9日 15:50

「70歳就業法」開始、なぜ日本は高齢者を働かせたいのか

また、こうした問題を、しっかり議論しなかったことも大問題です。この法律が成立したのは’20年3月。新型コロナの感染拡大が本格化し、とても怖くて、報道番組もコロナ一色だったころです。コロナショックのどさくさに紛れて、法律の不備を追求されるのを避けるため、早期成立させたのではと、疑いたくなります。

65歳までの雇用義務の際も、’90年に努力義務と法律に明記されてから、実際に希望者全員が働けるようになったのは’12年。実に20年以上かけて法律を固めています。どんな形であれ70歳就業の文言を法律に盛り込めば、あとは時間をかけて法整備はできると踏んでいるのでしょう。

ではなぜ、そこまでして高齢者を働かせたいのでしょう。
背景にあるのは「年金問題」です。

以前、65歳まで働ける環境づくりを進めたのも、年金の支給開始を60歳から65歳へ引き上げようとすることが発端でした。年金は65歳からしかもらえないのに、定年が60歳だと60〜65歳の間は収入ゼロでどうやって暮らすのか。そうした反発を避けるためだったのです。

とすると、70歳まで働ける環境づくりは、年金の70歳支給開始を見据えた布石だといえるでしょう。

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