バッハ会長は資産400億円「スポーツをカネに換える錬金術」
これは現役選手や元選手を主体とし、選手の意見をオリンピックの運営に反映させることを目的とした委員会だ。
当時、五輪のアマチュアリズムは今よりも徹底されていたが、バッハ氏は元選手として、サマランチ会長(当時)の持論だった「プロ選手の参加解禁」の“代弁者”となる。そのことで、サマランチ会長から寵愛を受けるようになったようだ。
1982年には弁護士の国家試験に合格、翌年には法学の博士号を得る。バッハ氏が最初に選んだビジネスの舞台は、サマランチ会長の“盟友”ともいわれたホルスト・ダスラー氏が会長を務めていたアディダス社だった。まだ30代前半にもかかわらず、国際関係部門の部長を任されることに。
これを皮切りに、さまざまな大企業で顧問や監査役などの役職を得て、ビジネスの世界でも成功を収めていくのだ。
■年俸5300万円、日当66万円の“問題契約”
バッハ氏の手法の特徴は、スポーツ界とビジネス界、それぞれで得た人脈を車の両輪のように駆使して、権力とカネを自らに集めていくところだ。
元五輪金メダリストとして国際的な人脈と、弁護士としての法律とビジネスの知識をあわせ持ち、ドイツ語のほか、英語、フランス語、スペイン語の4カ国語を流暢に話すというバッハ氏にしかできない技だ。