2021年9月2日 15:50
看護師介護施設への日雇い派遣解禁で「なし崩し規制緩和」の懸念
と「へき地等の医療機関への派遣」が解禁に。加えて「ワクチン接種業務への派遣」が’22 年2月まで限定的に解禁された
■すでに“闇日雇い派遣”は常態化していた
’12年に禁止される以前、日雇い派遣で働いた経験がある看護師のAさんは、こんな体験を吐露する。
「高齢者が多く入院している療養型病院に日雇い派遣されました。夜中に、ご高齢の患者さんの汚れたオムツを替えようとしたら、『今は交換の時間じゃないんだから、よけいなことをするな!』と、ほかの看護師に叱られて。オムツを汚れたまま放置しておくと、褥瘡(かぶれ)ができるので、すぐに交換するのが看護の常識。でも、恒常的に看護師が足りないこの施設ではそれをないがしろにしていたんです」
前出の佐々木さんは、こう語る。
「看護師の数を増やして過重労働を改善し、働きやすい環境を作らないと、医療現場の疲弊も解消されないし、離職者も減りません。なのに、政府は離職した潜在看護師を日雇い派遣すれば、人手不足が解消すると思い込んでいます」
さらに、派遣で働く看護師に取材を重ねると、意外な事実も。
看護師のBさんは告白する。
「じつは、解禁になる前から、日雇いのような形で働いている看護師はたくさんいました。