くらし情報『トキワ荘の紅一点 水野英子語る「24時間マンガ漬けだった日々」』

2021年10月31日 06:00

トキワ荘の紅一点 水野英子語る「24時間マンガ漬けだった日々」

個室はあったが、四六時中、石ノ森の部屋でマンガを描いて、

「そろそろ休んだら?」

と、言われて午前2時ごろ部屋に引き揚げる。銭湯へ行くのも3人一緒。いつも先に出た2人が、水野さんを待っていてくれた。

気がつくと、トキワ荘の滞在期間は祖母との約束を大幅に過ぎて、7カ月に及んでいた。水野さんは仕方なく一度、故郷に戻ったが、早々に祖母を説き伏せて再上京。しかしトキワ荘に入りたい者は列を作って待っていたため、すでに空室はなく、荘に真っすぐ向かいの目白通りの下宿に住んだ。

「トキワ荘で勉強になったことは数えきれません。私たちは、動かない絵で、映画と同じように、物語をいかにドラマチックに表現しようかと日夜考えていました。
石ノ森さんは、左右2ページにわたる見開き画面いっぱいに、バーンと見せ場を描いたり、コマを斜めにスパッと切り取ったりと、画面にリズムをもたせる手法を使い始め、目を奪われたものです。あの7カ月で、自分の画力が飛躍的に向上したのが実感できました」

トキワ荘で得たものは数知れず。その後続く長い作家人生では『白いトロイカ』『ファイヤー!』などヒット作を連発し、いまなお描きたいテーマは湯水のように湧いてくる。

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