2022年2月3日 06:00
物価上昇の家計に追い打ちかける“年金減額”将来的には月4万減の試算も
しかし、現在は少子高齢化のため、受給額を大きく上げると現役世代の負担がとても重くなってしまいます。それを防ぐために、’04年からマクロ経済スライドという仕組みが導入されているのです。スライド調整率というものを設定し、その分を年金の改定率から引くという仕組みです。そのため、年金の上昇分は、賃金や物価の上昇分に満たず、実質的に減額となります」(平野さん)
ただし、マクロ経済スライドは、今年のように年金額が減少する際などには、発動されない。
しかし、その分は、翌年度以降に繰り越されるので、今後仮に賃金(物価)が上がっても、繰り越されたマクロ経済スライド調整率が差し引かれるため、年金はほとんど上がらないのだ。
■物価は上がるが年金は減っていく……
こうした複雑な仕組みなどによって、年金減額が行き着く先はどこなのか。
平野さんは、厚生労働省が年金の将来の見通しを予想した「財政検証」にヒントがあるという。
「最新の財政検証(’19年)では、前述のようなモデル世帯の年金受給額は月22万円となっています。
この金額が現役男子の平均月収に占める割合を表す所得代替率は、61.7%となっていました。しかし、財政検証ではこの所得代替率を維持することは困難で、将来的には約50%にまで落ち込むと想定しています」