くらし情報『沖縄本土復帰50年 集団自決では祖母が祖父に「殺して」とせがんだ』

2022年5月15日 06:00

沖縄本土復帰50年 集団自決では祖母が祖父に「殺して」とせがんだ

集団自決で生き残った田中さん(右)と、聞取り調査をする宮城さん

集団自決で生き残った田中さん(右)と、聞取り調査をする宮城さん



【前編】男たちは妻や幼い我が子を手にかけ…沖縄を襲った集団自決の真実から続く

今月15日で沖縄本土復帰50年を迎える。いまから77年前、米軍との地上戦に巻き込まれた多くの民間人があまりにも悲惨な最期を遂げた。ジャーナリスト、それに女性史の研究家である、宮城晴美さん(72)の家族も心に大きな傷を負った。

その犠牲の上にいまがあるが「沖縄にはまだ戦後はない」と、宮城さんは訴える。現在の不穏な世界情勢を受け、軍備の増強を叫ぶ声も少なくないが、国が私たちを守ってくれるというのは幻想ではないかと、沖縄の歴史は物語るーー。

「これ、甘いものですけど、どうぞ召し上がってください」

こう言ってにっこりほほ笑むと、宮城さんは深々と頭を下げた。

「もう、土産なんかいいのに……」

差し出された菓子折りを遠慮がちに受け取ったのは、港からほど近い集落の一角で、家族で民宿を営む田中美江さん(91)。

「あんたのお母さんには本当に世話になったんだから。
ところで、海は荒れなかった?」

田中さんの言葉に宮城さんは「今日はとっても静かでした」と、ふたたび笑みを浮かべてみせた。

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