2022年6月11日 06:00
性暴力を引き起こす映像業界の劣悪な労働環境「撮影所で寝ているところを狙われる」
4月27日に結成の声明を発表し、反響を呼んだ『映像業界から性暴力をなくす会』。なくす会の声明には《極端な過労と睡眠不足によって、気力も体力も失われているところに加害者がつけ込むなど、劣悪な労働環境が性加害・性暴力の温床ともなっているのです》とある。
そこで映像業界の実情を知るために、本誌はなくす会のメンバーである羽賀香織氏に取材をした。
映像業界で、美術仕事に携わっている羽賀氏。映像業界の劣悪な労働環境についてこう明かした。
「テレビ局の正社員は、賃金や休みの取りやすさといった労働条件も恵まれています。そのいっぽうで下請けである美術会社の制作部や美術部、技術部は予算のあるなしに関わらず、撮影期間中はほとんど休みがありません。撮影は、3ヵ月から最大半年にも及びます。
その上、低賃金の長時間労働は当たり前。その影響で美術業は常に人手不足です」
羽賀氏は「低予算のロケ現場なら、ドライバーの予算を削るために美術会社の人間が運転を担当することもあります」といい、こう続けた。
「美術部は撮影日、朝4時に起きて車を運転して現場入り。そして、撮影中はずっと準備に追われます。撮影中も気が休まることはありませんし、他のスタッフが食事をしている間にセットを作ることも。