元ITウーマンが開いた“1食無料”の食堂 誰もが安心できる居場所を
ランチの回転率は平均4.5回。忙しいときは10回転もありました。まかない制度も順調で、1日に最大7人、年間延べ450人が共に働いてくれています」
まかないを思いついたきっかけは、修業時代にあった。
「お店を開きたいので、無給でいいから3カ月働かせてください」
と、申し入れると、何度も門前払いを食わされた。
「3カ月や1年そこらでは使い物にならない」
と、拒絶する店も多かった。
そこで小林さんはこう思う。
「やる気のある人間が1年働いても使い物にならないなんて、根本的に飲食業界の仕組みがおかしいのでは?1カ月、いや1日、1時間でも役に立てるはずだと考えて、50分を1つの単位と決めたんです。まかないのいいところは、自分に合わなければ辞めればいい。
50分だけ働いて、次から来なくてもいいんです。そんなとりあえずのお試しができるのが、けっこう皆さんに受け入れられている理由のひとつと思います」
もうひとつの思いは人との縁だ。
「一度でもお店に来てくれた人と縁を切りたくないと思いました。『おなか減ったぁ。もう誰も自分のことなんて気にしてくれてないなぁ』という人を放っておけない。追い詰められたとき、最後に未来食堂を思い出してほしいんです」