元ITウーマンが開いた“1食無料”の食堂 誰もが安心できる居場所を
小林さんは、高3で家出をした時も、歌舞伎町で働いていた時も、人と食事を共にすることで救われた。未来食堂も、誰にとってもそんな場であってほしいと願っているのだ。
■まかないさんにも広がっていく未来食堂の温かさ
取材の日、朝からまかないをしていた田中さんは、4年前に初めてまかないを体験。いまでは週に1度、千葉の自宅から往復3時間かけて通っている。
「彼女は、無駄口はきかないけど、温かい人。私は精神疾患を抱えていて、せかいさんに話したんですが、まったく気にしないふうで、二つ返事で『いいですよ』と。うれしかったですよ。病気のことを言うと、普通は雇ってもらえませんから」
コロナ前は金・土曜の夜は22時までの営業で、「さしいれ」や「あつらえ」が盛んだった。
常連さんも新規の人も、一緒に飲みながら会話しているのを聞くだけでも楽しかったという。ちなみに「さしいれ」は持ち込み自由のお酒のこと。半分はみんなにおすそ分けするのがルールだ。
「私は独り者で、家に帰っても無言な毎日ですからね。ただめし券を人にあげたこともありますよ。『3日間、食べていない』という女子大生風のコが来たんです。コロナのせいですかね。