「わが家よりもここで死にたい!」“看取りの家”「ぽらりす」代表・岡田美智子さん
岡田さんは、そのときのことをヨウコさんに質問した。
「救急車乗ったの、覚えてる?ヨウコさん、病院の先生に『死ぬんならぽらりすがいい』って言い張って、それで帰ってきたよね?」
岡田さんの言葉に「フフフッ」とうれしそうな笑みを浮かべるヨウコさん。岡田さんはふたたび、しゃがれ声を張り上げた。
「ここじゃあね、そんなすぐに死なれたら困るの。いま91歳だっけ?あと9年、少なくともあと9年は長生きしてね!」
ヨウコさんは「はい!」と力強くうなずいた。入居者の多くは、岡田さんを「社長さん」と呼ぶ。ヨウコさんは言う。
「社長さんはいっつも元気。
それに優しい。困ったことがあったら、いつでもすぐに来てくれるの」
その言葉を岡田さんにそのまま伝えると「元気じゃないと、逆に心配されちゃうんだよ」と笑った。
「毎朝、各部屋のカーテン開けながら、皆の顔色を見て回るんだけど。そんときに、気取った調子であいさつなんかしてっと『社長さん、大丈夫かしら』って、おばあちゃんたち言うのよ。だから、疲れてようと、どれだけ声がかれようと、腹の底から大きな声で『おはようございまーす!』って(笑)」
■病院に送ったほうが楽かもしれない。