「わが家よりもここで死にたい!」“看取りの家”「ぽらりす」代表・岡田美智子さん
「だーから、この人、なにかっつうと、まるでここの看板背負ってるような顔すんだよぉ(笑)」
今度は最高齢のフミちゃん(94)が「ごちそうさま」と声を上げた。すぐさま、岡田さんが応じる。
「はーい、じゃ、目薬しまーす。でもよ、フミちゃん、目薬したこと忘れんでねえかんな。すぅぐ『まだです』なんて言うんだから(笑)」
■“縛り”が不要なのは、岡田さんが24時間365日、ここで入居者を見守っているから
2004年に開業した「ぽらりす」。入居した人たち皆が皆、「ここで最期を迎えたい」と話し、地域の医療従事者たちも「理想的なついのすみか」と口をそろえる。その理由は、ルールやマニュアルで入居者を縛り付けない家族的な運営にある。昨今の施設では当たり前のように見受けられる各部屋の扉をロックする電子錠もない。
岡田さんが作り上げた、いまどき珍しい“ゆる〜い”施設は海外メディアが取材に訪れるほど、国内外から注目を集めている。
ここで記者は、先ほどから気になっていたことについて聞いた。
「このベッドは、なんのため?」
食堂の中、食卓のすぐ隣にベッドが1つ、置かれているのだ。
すると岡田さん、ベッドに腰かけ、マットレスをポンとたたいた。