「わが家よりもここで死にたい!」“看取りの家”「ぽらりす」代表・岡田美智子さん
「なんのためって(笑)。ここで私が寝てんだよー。ここならさ、夜中に
ナースコールがピンポン鳴っても、ヒョイと顔上げれば、廊下が全部見えるじゃん。不穏になった誰かがウロウロし始めたときも、すぐにわかるでしょうよ」
そう、ぽらりすに“縛り”が不要なのは、彼女が24時間365日、ここで入居者を見守っているから。
「夜中、オムツ交換に回るでしょ。寝てんのか、死んでんのかってドキッとするとき、あっからね」
こう言って岡田さんは、また豪快に「ガハハハ」と笑うのだった。
「はい、血圧測るからね。気持ちをゆっくりしてよー」
取材2日目の朝。
岡田さんはヨウコさん(91)に腕帯を巻きながら、リラックスさせようと明るい調子で声をかけ続けている。
「あれ?取材の人がいて興奮してるん?ちょっと高いな。もう一回測りましょう。深呼吸してごらん。ここらの空気、み〜んな吸っちゃっていいから(笑)」
ヨウコさんが入居したのは5年前。それから間もなくして、彼女は救急車で病院に担ぎ込まれたことがあった。
「この人はぜんそく持ちで、そのときは酸素飽和度が70台に落ちちゃったんだよね。慌てて救急車呼んで。
私はさ、当然入院するものと思ってたんだけど、午後になったら帰ってきちゃったんだよね」