2023年3月24日 06:00
4月ぶんから年金増額も…「価値は激減している」と専門家
つまり、マクロ経済スライドが発動されなかった年の調整率は翌年以降に持ち越され、次に発動するタイミングで、一気に引かれることになったのです」
その後、2019年、2020年にマクロ経済スライドが発動。そして今回、昨今から続く物価上昇や賃金上昇によって、3年ぶり4回目のマクロ経済スライド発動となったのだが、しっかりとキャリーオーバー分も引かれている。
「今年度のスライド調整率は0.3%と計算されています。さらにキャリーオーバーが2022年度で0.2%、2021年度で0.1%あるので、スライド調整率は合計0.6%ということになるのです」
その結果、67歳以下の人は名目賃金変動率の+2.8%から0.6%を差し引いた+2.2%、68歳以上の人の年金額は、物価変動率+2.5%から0.6%を差し引いた+1.9%で改定されることに。
「額面では増えるのでわかりにくいですが、年金受給額の増額は物価上昇よりも低く抑えられているので、じつは年金の価値は下がっています。実生活では気づきにくい形で年金を“値下げ”するという、姑息な制度です。しかし、最近の物価上昇は激しいので、今年はマクロ経済スライドの悪影響を実感する年になりそうです」