2023年5月19日 11:00
羽生結弦 プロ引退直前の“最愛スケーター”と最後の共演 幼い心に衝撃受けた過去
(前出・スポーツライター)
ウィアーは現役時代、トップ選手の1人ではあったものの、プルシェンコに比べれば、その戦績はやや見劣りする(’06年トリノ五輪では5位、’10年バンクーバー五輪では6位)。それでも、羽生がウィアーに引かれた理由を、フィギュアスケート評論家の佐野稔さんはこう分析する。
「表現力の繊細さでしょう。ジョニー・ウィアーは、フィギュアスケートの“美しさ”を魅せてくれるスケーターです。それが羽生くんとの共通点でもあると思います」
羽生自身、’12年に出版した自叙伝『蒼い炎』でウィアーをこんな言葉で絶賛している。
《流れるようなスケーティングや、やわらかい表現がずっと好きで憧れていたジョニー》
《最近のジョニーはアスリートというより、完全に芸術家。(中略)ジョニーにはジョニーだけの世界があって、それを彼は完全に極めているんです》
羽生は’18年のショートプログラムで『秋によせて』という曲を使ったことがあるが、これはかつてウィアーが使用していた曲で、リスペクトを込めた選曲だった。ウィアーがこのプログラムを演じていた時期、羽生は小学生だったが、幼い心に受けた衝撃をのちに次のように明かしている。