2023年5月28日 06:00
暗闇に負けない!希望の調べ 全盲のバイオリニスト・穴澤雄介さん
「幼稚園の友達と一緒にお稽古事として通いました。母親同士が決めたんだと思います」
世に中流意識が叫ばれた時代に、穴澤家は「中の上くらい」の生活水準だった。月謝は2千円、与えられたバイオリンは中古だった。
だが小学校中学年以降、心臓の動きがだんだん悪くなってきた。
「10歳で最初の心臓手術をしました。麻酔が効きすぎたのか、丸2日、記憶がありません。そしてそこから、どんどん視力が落ちてきてしまったんです」
先天性緑内障と診断されており、視野狭さくも大きくなってきた。
教科書を読むにも拡大鏡が必要で「人の3倍」時間がかかった。
「小学校高学年のころ『一般的な仕事には就けないだろう』と悟りました。同時に『演奏家だったらなれるかな』と。耳や手先の感性を研ぎ澄ましていけば、なんとかなると思ったんです。そこから、バイオリンを猛練習しました」
中学進学の際は、筑波大学附属盲学校中学部へ。「将来的に全盲になる覚悟をしなければなりませんから、盲学校を選びました。
盲学校では私より重度の障害がある級友がずいぶん明るく過ごしていたので、『弱音を吐いてはいられない』と励みになりました」
軽音楽部に入部してキーボードやパーカッション、ドラムを経験。