2023年5月28日 06:00
暗闇に負けない!希望の調べ 全盲のバイオリニスト・穴澤雄介さん
楽譜を見ながらの演奏は困難になってきて、耳で覚える「耳コピ」が主となっていく。
「音楽家志望ながら、楽譜を見ての演奏が基本となるクラシックは無理だと、選択肢が狭まっていく時期でもありました」
だが筑波大附属盲学校の高等部本科音楽科に進学後、視力はますます衰えていった。
「外出時にけがすることが増えました。思い切り何かに激突したり、転倒もするので、白杖を持つようになったんです。点字の勉強も、この時期から始めました。
ちなみに、私は駅のホームから、これまでに2度転落しています」
何げなく彼は話すが、つねに命の危険と直面しているのがわかる。
「視覚障害者の鉄道での人身事故は、時折、起こります。まったく予期できず線路に落ちるため、打ちどころが悪く致命傷になってしまうことだってあるんです」
この高等部時代に体育の授業で右目を負傷して、猛烈な痛みが引かず、17歳で右目を摘出手術。
折あしくバブル崩壊直後で、父が経営する会社も業績悪化する。
「もう『中の上の生活』なんて言っていられず、一度の受験失敗で音大進学もあきらめました。
高等部卒業後、2年の専門教育を受けられる専攻科音楽科に進学。