2023年5月28日 06:00
暗闇に負けない!希望の調べ 全盲のバイオリニスト・穴澤雄介さん
強烈な悔しさで涙が出て」
その怒りが、一切の甘えと退路を断った。以来「どんなに小さい仕事でもくまなく探して取りに行く」営業スタイルで動きだした。
ライブハウスから結婚式場まで、片っ端から電話をかける日々。
「些少なギャラでも『ありがとうございます』と引き受けました。
高齢者施設のボランティア演奏も喜んで行った。ノーギャラでも、交通費が出て院内給食をいただければ御の字です。だって、おかずがあるんですから!」
経験を重ねれば、経歴に書ける項目も増えていく。職業訓練校に通って習得したパソコン処理で、履歴書も企画書もお手のものに。
「売り込みながら同時にコンテストを受けました。なるべく賞が取りやすいものから応募したんです」
たとえばビール会社のCMオーディションに採用された曲がFMラジオでOAされると即、実績に上書きして、また営業へーー。
「ふつうはクラシック奏者が書かないものも、構わず書いてアップデートしました。病院や施設での演奏歴もすべてです」
そしてついに、CDデビューのチャンスが。’99年、24歳でアルバム『シンシアリー・ユアーズ』を発表したのだ。
「プロとして『やっていける』と思えた瞬間です。