くらし情報『ハーブ研究家・ベニシアさん夫の梶山正さんが明かす「最後の日々」〈2〉“壮絶介護”で感じた苦悩と後悔』

ハーブ研究家・ベニシアさん夫の梶山正さんが明かす「最後の日々」〈2〉“壮絶介護”で感じた苦悩と後悔

’18年9月。ベニシアさんは京都大学医学部附属病院でPCA(後部皮質萎縮症)との診断を受けた。悪化すると最後は失明することもある脳の病気で、認知機能の低下を招くケースもあるという。だが皮肉にも、この病気が2人の距離をふたたび縮めてくれることに。

「ちょうどそのころ、ベニシアがいつもお願いしていた家政婦さんが辞め、否応なく、僕がベニシアと日々、向き合うことになったんです。

彼女が僕を必要としているだけじゃなく、そんな彼女を僕も精神的に頼っていることが、よくわかった。こうなって初めて、僕にとってベニシアは、太陽のように僕を導いてくれる、かけがえのない存在なんだと気がつくことができた」

しかし、病いは容赦なく進行した。やがてベニシアさんは、家事はおろか、あれほど心血を注いできた庭の手入れもできなくなった。


「ベニシアも『私がなんとかせないかん』と動こうとはするのですが……。以前から懇意にしている造園家の友人がたまに来てくれて、剪定した庭木の話をしたりすると、うれしそうに聞いてました」
それまで、寝室は2階だったが、1階の和室にベッドを移した。

「トイレがひと苦労でした。ベッドの縁、椅子、それに土間に用意した手すりを伝って這うようにして、彼女は自力でトイレに行く。

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