茨城のNPO「キドックス」…保護犬の世話を通じてひきこもり等の若者の社会復帰を支援
「とてもショックで、そのころから、いつか犬の命を救う場所を作りたいなぁと、アニマルシェルターの完成予想図を描いたりしていました。まあ、子供ならではの妄想なんですが」
小1での転校でいじめに悩むこともあったが、それよりつらかったのは、親友の突然の変化だった。
「互いの自宅に泊まったりするほど仲のよかった子が、中学に入ると非行に走り始めたんです。当時の私には思い当たることもなく、なぜ人は悪いほうへ導かれていくのだろうという疑問が、常につきまとうようになりました」
また、高校1年生のときには、まだ9歳だった愛犬を心臓病で亡くし、「何かしてあげられることがあったのでは。私はいい飼い主だったろうか……」と、自問自答するようにもなった。
アメリカの少年院でのドッグプログラムについて書かれたノンフィクション『ドッグ・シェルター犬と少年たちの再出航』(金の星社)と出合ったのは、そんなときだった。
「オレゴン州のNPO『プロジェクト・プーチ』が主人公の本でした。当時、犬や非行に走る若者たちのために何かできないかといつも考えていた私にとって、その本で『犬も人もどちらも救うことができるんだ!』と知り、まさにバイブルとなりました。