100万円損することも! 年金生活者を脅かす『211万円の壁』
(写真:happyphoto/PIXTA)
「今後、年金だけで悠々自適に暮らせる高齢者は減少します。さらに実質的に年金額も目減りしていきます。そこで高齢者になっても稼いでいくことになるわけですが、住民税が『課税』か『非課税』をふまえて、どこまで稼ぐか、しっかり頭にいれることが重要です」
そう語るのは、「お金と福祉の勉強会」代表の太田哲二さん。
住民税非課税世帯(以下、非課税世帯)とは、所得に応じて負担する住民税がかからず、各種控除を引くと「0」になる制度があり、その条件を満たした世帯のこと。
年金のみで生活している65歳以上の夫婦が非課税世帯になるのは、東京都の場合で年金収入が211万円以下(表1)。これがたとえ1万円でも増えて212万円になると、住民税がかかるうえ、社会保険料(国民健康保険料+介護保険料※75歳以上は、国民健康保険料は後期)の負担が増え、手取り額が211万円より10万円ほど少なくなる逆転現象が生じる。
これがいわゆる『211万円の壁』。なお配偶者の年金収入も非課税レベルの収入であることが前提だ。
ちなみに、住民税課税所得になる所得の基準は自治体によって違い、東京都区部など大都市部では「211万円」