「日本航空123便墜落事故」裁判終結に、夫を亡くした81歳の遺族が期す「真相究明」次なる一手とは
しかし事故調査報告書には「付録」があり、それが2013年に国土交通省ホームページで公開されていたことが、のちにわかった。
その116ページには事故機の垂直尾翼の部分に「異常外力の着力点」として黒丸がマークされており、報告書で結論された原因「圧力隔壁の破壊」に対して疑問が広がったのだ。
吉備さんは憤りを隠さない。
「日航や国の対応は当初から辻褄が合わず、おかしな点ばかり。国も日航も、何か隠している気がして、疑問を持ち続けていました。真相を追究するためには、日航が保管しているボイスレコーダー、フライトレコーダーの音声を聞くしかないと」
股関節に持病があり、車椅子が必要なほどの吉備さんが、齢80にして立ち上がった裁判だったが、2023年の控訴審判決の棄却理由を要約すると、
(1)ボイスレコーダー等の内容は、事故調査報告書に添付され公開されているため、開示の必要はない(編集部註=同報告書で公開されたのはボイスレコーダーの全部分ではなく、抜粋と思われる書き起こしのみで、音声はなし)
(2)かつて吉備さんと日航等とのあいだで成立した和解(前述)は、同事故についてのすべての請求権を消滅させるものだから、ボイスレコーダーの請求権もない
そして今回、最高裁で上告棄却と上告受理申立の不受理が決定したのである。