放射能被害の地撮り続ける戦場写真家が見た「福島の涙」
これはもう戦争なんだ。相手は武器や銃弾ではなく、目には見えない放射性物質なんだと……」(大石さん・以下同)
ベトナム、カンボジア、アフガニスタン、コソボ……と、世界でも珍しい女性の戦場写真家として、戦地・紛争地帯を取材してきた大石さん。戦争では女性や子どもたちの笑顔が踏みにじられ、民たちは生活の手段を奪われる。彼女の目に映った福島もまた戦場だった。
「福島では、人間にとって生きる原点である“土”が汚されてしまった」
こうして大石さんの福島通いが始まった。
「東日本大震災発生後、すぐに福島へ行きたいと思いました。でも、その直前に入院していたこともあって、医師に止められていたんです」
かつて阪神・淡路大震災では、すぐに現地入りするとかえって地元の人たちを混乱させると、あえて時間を置いて訪れた大石さん。なぜ今度は一刻も早く行きたいと考えたのだろう。
「やっぱり原発が爆発したからね。それに津波の映像はたくさん流れていたけれど、原発事故の映像は本当に限られていたでしょう。