曽野綾子明かす晩年の三浦朱門さん「今でも夫の声聞こえる」
肺炎を発症し、三浦さんの容体が急変したのは、三浦さんが施設にショートステイしている1月25日のことだった。
「ですから私は彼に言いました。『あなた、ここは(ショートステイしていた)ホームじゃなくて病院なのよ。看護師さんたちも、まだおなじみでない方なのよ。だから女房に殴られた話は、初めからしっかり言わないと浸透しないわよ』。すると夫は『あれはもう古びたから、新しいのにする』と言って……。彼が意識を失う直前のことですけど、どう言えば女房がひどい女であることを伝えられるか、新しいバージョンを考えていたんです。最後の最後まで、遊びを続けてくれていて、ほっとしています。
両親の仲が悪く、私は暗い家庭で育ちましたので、なんでもいいから明るい家庭を作りたいと思っていました。そこまでわかって三浦と結婚したわけではありませんが、結果としてそういう家になったことは感謝しています」
三浦さんは、入院から1週間後に逝去。クリスチャンだった三浦さんの葬儀のミサは、自宅の介護部屋で営まれた。
「三浦が亡くなった後、私が悲しんで少しはしおらしくしているのではないかと考えていた友達もおられたようですが、私は少なくとも外面では変わっていないように見えたと思います。