【韓ドラの凄ワザ!】『紳士の品格』にある“ネオ韓ドラ”感
再ブームの予感がする韓国ドラマ。そんな“韓ドラ”の凄ワザを、『定年後の韓国ドラマ』(幻冬舎新書)の著書もある、韓国ドラマを15年間で500作品見た、作家・藤脇邦夫が読み解く!
【第4回】『紳士の品格』の実は侮れないネオ韓国ドラマ感覚
『紳士の品格』は’12年の作品だが、この種のドラマがあまり作られることがないだろう点でも貴重な作品だ。今まで上流階級を舞台にしていたドラマであっても、その設定の背景には登場人物の生い立ちと上昇志向が必ず隠されていたし、その人物相関図の中に「貧困」は少なからず内包されていて、韓国ドラマでは不可欠な要素の一つだったが、この作品ではそうした背景は完全に排除されている。
定番ともいえる、街中の食堂や屋台等の庶民(?)の描写がまったく出てこないだけでも画期的だが、今までのセオリーからすると、その要素を抜きにした世界でドラマを構築することが逆にいかに難しいか、これは従来の韓国ドラマの逆説の発想ともいえる。一般的な庶民の、現実の生活環境、及びその感覚は全く違うからだ。