【韓ドラの凄ワザ!】イ・ソンミンにみる主演俳優の配役変化
で急転する。猛烈商社マンの人間臭い面を見せたこの作品は、イ・ソンミンという俳優をさらに印象付けることになり、この『記憶』でその評価は決定的になった。
『記憶』はテレビドラマとしてはかなり複雑な構造を持った作品である。むしろ、映画的といってもいい濃密さだ。主人公の敏腕弁護士はあまりにも強引な手法で弁護士の枠を超えて違法すれすれの事までこなすようになっている。だが、その裏には、子どもを不慮の事故で亡くして離婚、そして再婚して、仕事に忙殺されながらも、何とか幸せな家庭を築こうとする主人公なりの努力も垣間見えるという具合だ。そんな時、本人の体に異変が起こり(初期アルツハイマー病の宣告)、同時に一見平穏だった家庭にも、弁護士としての業務にも亀裂が入るようになる。ここで上司(イ・ソンミン)の言動に幻滅して辞表を出そうとしていた部下としてジュノ(2PM)が登場し、主人公と最後まで行動を共にするドラマ内の重要な人物となる。
今や定番ともいえるK-POPメンバーの単独ドラマ進出については賛否両論あるが、この作品でも全体のマイナスにはなっていない。
前妻とのトラウマも並行して描かれるこのドラマの中で、主人公は、記憶が完全になくなる前に、何のために、何をすべきなのかを考えるようになる。