「沢山の幸せと愛情をありがとう」20歳で逝去した女性がノートに遺した言葉
「私は、ずっと、死ぬことは許さないというスタンスできていましたからね。未来ノートを始めた日は、私にすれば、ハッタリをやめ、里菜の覚悟に観念した日、里菜が死ぬことを認めてしまった日でもあるんです」(麻紀さん)
金澤家のリビングには、シンプルでオシャレな白木の仏壇が、開放的な木目調のラックに納められている。仏壇は、扉が閉じないオシャレ仏壇がいい、お葬式にきてほしい人たち、その人たちに伝えるための連絡網……。里菜さんは、未来ノートにこと細かに書き残していた。
「だから、私たちに戸惑いはありませんでした。里菜のためにと始めた未来ノートでしたが、結局、残された家族のためのものだったんですよね」(麻紀さん)
里菜さんの病室の引出しには、《勝手に開けないこと!!》と書かれたプラスチックの書類ケースも入っていた。中には、里菜さんの今年のスケジュール帳と、家族それぞれに宛てた遺書があった。スケジュール帳の最後のページの真ん中には、縦にマスキングテープが貼ってあった。
「里菜が亡くなった後、そのマスキングテープを2センチほどはがしてみたら……、もうダメです。