父親目線の育児マンガ『お父さんクエスト』が正直過ぎて笑える!
中盤で妻が、無事に娘(作中では「ちーこ」と呼ばれている)を地元である関西で出産し、東京に戻ってきて、主人公の生活ももちろん変化するのだが、そこで大変さも気取らずに描かれているように見える。夫婦喧嘩までも。
子どもが生まれたからいきなり親になるのではなく、子どもが日々成長するように、親も日々変わっていくのだということが、作品を読むうち、深く納得させられる。
巻末収録されている、妻・さち子さんへのインタビューもすごくいい。マンガの中に登場するさち子さんは、あくまでも主人公というフィルターを通しての存在だったけれど、インタビューでは、彼女自身が答えている。マンガ内でスムーズに描かれていた不妊治療について、本当はもっと大変なものであったというように、裏側まで赤裸々に。
わたし自身は妊娠も育児も未経験なため、描かれていることは未知の領域ではあるのだが、なぜか、わかる、と思えてしまう。普段の生活の中でのささやかな悩みや、ちょっとしたことへの戸惑い。
同じ経験をしていなくっても、何かに置き換えて、共感することができる。育児から遠い生活を送っている人であっても、素直におもしろがることができるようになっている。