夫の死で決意…「世界の山ちゃん」女社長の“凄腕経営”奮闘
隣には、こわばった表情の久美さんが立ち尽くしていた。
中島会長は、「やっぱり久美さん、あなたしかいない。あなたが社長をやってくださいよ」と声をかけた。会社を、家族を常に思っていた重雄さんだったら、どう考えるのか。それは中島会長が悩み抜いた末の言葉だった。とはいえ、久美さんは、「会社も大事ですけど、私には守るべき子どもがいます。社長なんてできません」と、にわかに受け入れることなどできなかった。
ほんの数時間前まで元気だった夫の突然の死。
茫然自失の久美さんの周囲で、事態は目まぐるしく動き出していた。23日、重雄さんの葬儀・告別式がしめやかに営まれた。その翌日からコンサルタントなど、経営関係の人たちが続々と自宅を訪ねてきた。
「『(次期社長は)あの人がいい』『この人は信用するな』というようなお話をワーッとされて。私は、『いま?主人がなくなって数日だというのに、そんな話をいま聞かないとダメなの?』って。悲しみに暮れているヒマすら与えられないんだな。会社って、トップがいなくなると、こんなことになっちゃうんだと驚いて……」