妻優遇の新相続制度 泥沼の争い避けるための防衛3カ条とは
しかし3千万円の家について“妻の居住権が1千万円と算定された”と仮定してください。妻は家に住みながら3千万円の預貯金をもらえるのです」
また現行制度だと夫の両親をいくら介護してきたとしても、妻に夫の両親への相続権はなかった。しかし新制度では、妻も相続人に金銭を請求できるようになりそうだ。
「現行でも故人の財産増加や維持に貢献した人の遺産取り分を増やす『寄与分制度』がありましたが、対象者は相続人に限られていました。でも今回の変更によって、妻にも権利が認められることになります。妻が大変な介護の“対価”をきちんと請求できるようになるというのは、とても意義のあることだといえるでしょう」
だが、こうした妻の優遇には思わぬ落とし穴も。松下弁護士が次のように指摘する。
「貢献してきた妻を保護するという考えは妥当だとしても、ほぼ確実に感情のトラブルは増えるでしょう。
介護をどれだけやっていたかは証明が難しい。そのため『やった、やってない』と言い合いになりがちです。まわりから『お金のために介護したのか!』と非難されることもありうるでしょう。