西山美香さん(38)〈私は殺ろしていません〉獄中から訴えた350通の手紙
(中略)私は人との接し方がわからないし、自分に自信がありません。すぐに涙がでるし……(後略)》
美香さんの無実の罪を晴らすまで、両親はあきらめるわけにはいかなかった。すぐに新たな弁護士を探し、’10年9月、裁判のやり直しを求める再審請求を行った。だが、懸命に闘う西山親子の前に、突きつけられる現実は厳しいものだった。
’11年、3月30日、大津地裁第1次再審請求棄却。5月23日、大阪高裁即時抗告棄却。8月24日、最高裁特別抗告棄却。
《早くお父さんとお母さんと一緒にご飯が食べたいです》
《このごろすごく家が恋しく思って泣けてきます》
美香さんの両親は、第2次再審請求に向けて力になってくれる弁護士を探し始めた。
しかし、自白を覆すための弁護を引き受けてくれる弁護士は、なかなか見つからない。最後に訪ねたのが、現在、弁護団長を務める元裁判官の井戸謙一氏だった。井戸弁護士は、当時をこう振り返る。
「私も最初はむずかしいと思いました。でも、記録を読み込むと、警察の捜査に都合がいいように、供述を変えさせられていた。