研究所でも測れない放射能を検出…3.11被災地“母親たちのNPO”がスゴイ
トリチウムは、低濃度でも、染色体異常を引き起こす一因になる危険性が指摘されている。
原発事故が起きた’11年の10月。鈴木さんは地域の母親らと共に、たらちねをオープンした。冒頭のように危機を訴える鈴木さんの姿を見て、食品の放射能測定器を寄付した人がいたのがきっかけだった。
「その測定器は比較的、測定が簡単なガンマ線を発する放射性セシウムを測る器機でした。事故当初、国の放射性セシウムの規制値は、食品1kgあたり500ベクレル(※)。それ以下の値なら、流通していました。でも、ここに測定に来る、子や孫がいる人たちは『5ベクレルでも、食べさせない』と言います。
だから、たらちねでは限りなく低い値まで測定する努力をしてきました」(鈴木さん)
食べ物以外にも、掃除機のゴミや靴底の汚れといった日常生活で汚染が考えられるものや、いわき市内の小中学校の校庭の土も測定し続けている。お母さんスタッフたちは、「子どもの未来のため」と思い、妥協を許さない。測定室を開設して2年ほどたった’13年、専門機関でも測定が難しいベータ線測定をすべく準備を始めたのだ。鈴木さんは、講演会や、インターネットの動画などで、測定の必要性を広く訴えた。